改正電子帳簿保存法について。この法律によって何が変わったのか?

電子帳簿保存法は、1998年7月に制定された法律なのですが、2020年10月の改正を経て、企業がさらに運用しやすい制度にするため、2022年1月に改正が行われています。皆さんも、改正電子帳簿保存法については、なんとなく耳にした記憶があると思うのですが、意外に多いのが「この法律改正により、具体的に何が変わるのかが分からない…」と言う声です。改正電子帳簿保存法は、企業のペーパレス化をさらに推し進めるなどと、環境面のメリットばかりが注目されていますが、逆に言えば、今後は電子取引データの書面保存が認められなくなるなど、全ての企業に関係する内容となりますので、何がどう変わるのかをきちんと押さえておかなければいけません。

そこでこの記事では、改正電子帳簿保存法によって何がどう変わるのかを簡単にご紹介していきたいと思います。

電子帳簿保存法の基礎知識について

それではまず、そもそも電子帳簿保存法がどのような法律なのかについて簡単に解説しておきます。電子帳簿保存法は、国税帳簿関連の書類を『紙』ではなく、電子データとして保存できるように定めた法律です。この法律は、従来は紙ベースの書類として保存していた物を電子データとして保存することを容認することで、帳簿管理の負担軽減や企業のペーパレス化推進に大いに役立つと考えられています。
なお、電子帳簿保存法は1998年に制定されたのですが、それ以降何度も改正が行われており、法律制定当初は、一貫して電子作成されたデータのみが保存の対象だったのですが、2005年にe-文書法が制定されたことにより、紙の書類をスキャンして保存することも可能となっています。

e-文書法も、民間企業を運営するうえで、紙での保存を義務付けられている文書について、電子データとして保存することを認めた法律になります。ちなみに、請求書や領収書、損益計算書などの国税帳簿書類の電子化については、要件がより厳しくされている電子帳簿保存法が適用されます。2005年時点での電子帳簿保存法では、3万円未満の契約書・領収書のみが保存対象であったり、電子照明が必要であったり、スキャン保存に関する厳しい要件があるなど、使いづらさが指摘されていました。そこで、法律の簡便性確保を目的に、要件緩和に関する改正が行われてきたという歴史があります。

上述しているように、電子帳簿保存法が適用されるのは、国税帳簿書類なのですが、以下でもう少し詳しく対象書類について解説しておきます。

電子帳簿保存法の対象書類について

電子帳簿保存法について、具体的に対象となる書類がどのようなものか気になるという方は多い事でしょう。電子帳簿保存法に基づいて、データによる保存が可能とされているの以下のようなものです。

  • 帳簿関係・・・現金出納帳、仕訳帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、総勘定元帳、 固定資産台帳など
  • 決算書関係・・・貸借対照表、損益計算書など
  • 証憑書類関係・・・見積書、契約書、納品書、請求書など(※スキャナ保存可能)

保存期限はどれも7年となります。なお、上記の内、決算書についてはスキャナ保存ができず、最初から電子データで管理している場合のみ電子保存が可能です。証憑書類に関しては、スキャナ保存が認められているのですが、スキャナで読み取って入力するまでの期間(67日間)が定められているので注意してください。

2022年1月以降は何が変わるのか?

それでは、2022年1月の電子帳簿保存法改正による何がどう変わるのかについて、重要ポイントを具体的にご紹介していきましょう。

電子取引の「データ保存」が義務化へ

この部分は、全ての企業に関係するポイントです。取引先からデータで貰った注文書や発注書、自社が電子データにて発行しているものの控えなども含めて、今後は紙での保存が一切不可となり、全て電子データのまま保存しなければならなくなります。2023年12月31日までは猶予期間とされていますが、あくまでも企業側が準備を整えるための期間です。2024年1月以降は、全ての企業が電子取引のデータ保存に対応しなければならなくなります。

なお、国税庁の公式サイト内に、電子帳簿保存法に関する一問一答が用意されていますので、皆さんも確認しておきましょう。この中で、「どのような取引が電子取引に該当するのか?」が紹介されていますので、以下に引用しておきます。

(1) 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
(2) インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等の画面印刷(いわゆるハードコピー)を利用
(3) 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
(4) クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
(5) 特定の取引に係るEDIシステムを利用
(6) ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
(7) 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領
引用:国税庁公式サイト

上記のように電子取引については、2024年1月以降、書面で出力し紙で保存することが認められなくなります。注意が必要なのは、電子データと紙の両方で入手した場合、紙が原本となるため、紙も廃棄してはいけません。そして、データの保存方法についても、きちんと保存要件が規定されていますので、それを満たした状態で保存しなければならないと考えてください。保存要件については、以下の資料を確認しておきましょう・

> 国税庁資料

電子保存における承認制度が廃止される

従来の電子帳簿保存法では、企業がこの法律の適用を受けるためには、電子データ保存、スキャナ保存ともに、税務署に事前申請しなければならないと定められていました。しかし2022年1月の法改正により、事前申請が不要となっています。
なお、税未調査に手帳簿や書類のダウンロード提出などが求められる場合があるので、その辺りは注意しなければならないでしょう。ちなみに、今回の法改正以前より、電子保存やスキャナ保存に対応している企業については、改正後の要件に従って電子帳簿保存を行う時、「承認の取りやめの届出書の提出」など、一定の手続きが必要となります。

罰則が強化される

今回の法改正によってより厳しい罰則規定が設けられているので注意しましょう。従来の法律では、重加算税の適用のみと言う比較的軽度の罰則が用意されていたのですが、今回の法改正により、データ改ざん・隠ぺいなどの不正が認められた場合、重加算税に本税の10%の金額が上乗せされて課税されることになっています。

スキャン保存の要件緩和

従来の法律では、スキャン保存を行う場合、「受領者が自署し、3日または7日以内に入力して、タイムスタンプの付与を行わなければならない」と言う要件が設けられていました。

これが今回の法改正により、以下のように要件緩和がなされています。

  • ・システム内の機能などで、入力期限内に入力されていることが確認できる時、タイムスタンプが不要
  • ・受領者が自らスキャン保存する場合、自署が不要

まとめ

今回は、全ての企業に関係してくる改正電子帳簿保存法について簡単に解説してきました。今回の法改正は、2022年1月より適用されているのですが、猶予期間が設けられていますので、完全に義務化されるのは2024年以降となります。こう聞くと、「まだ2年も先か」と考えてしまう方が多いのですが、会社の重要書類の法損形式を根本から変える法律ですので、ギリギリに対処するのではなく、可能な限り早めに対応しておくのがオススメです。
なお、重要書類の電子データ保存が義務となるということは、今まで以上にデータの保存に注意しなければならないということです。弊社では、安全にデータを保存するための社内整備のアドバイスなども行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。